表面の角質細胞が1個剥がれ落ちると、それがシグナルとなって基底層で新しい細胞が1個生まれます。
逆にいうと、新しい細胞が生まれるためには、表面の角質細胞がスムーズに剥がれ落ちる必要があるのです。
正常な皮膚では、表面の角質細胞が空気に触れて乾燥すると、垢としてはがれ、自然に落下していきます。
規則的に剥がれ落ちていれば、基底層でも次々に新しい細胞が生まれます。
すると、表皮が厚くなり、その分、肌の表面に波打つ余裕が生じて、キメが深くなり、キメに囲まれた網目模様の中も勢いよくふっくらと盛り上がります。
しかし、化粧水やクリームなどをつけて肌の表面をベタベタにしていると、角質細胞は乾燥せず、垢も剥がれにくくなります。
つまり、新しい細胞が生まれにくくなるのです。
よって、皮膚表面は多少乾燥しているほうが良いのです。
理想の肌は「しっとり」ではなく、「さらさら」だと覚えておきましょう。
自家保湿因子ができるしくみ
角層は、皮膚の水分の蒸発を防ぎ、同時に外部からの化学物質や異物の侵入も防ぐ保湿膜として働いています。
このようなバリア機能を角層が発揮できるのも、角質細胞と細胞間脂質が何層にもびっしりと積み重なって、丈夫な壁をつくっているからです。
角質細胞は、表皮細胞が死んでできたもの。
表皮細胞の中には細胞核をはじめいろいろな物質が含まれていて、それらが変化したものが材料となります。
これはアミノ酸を主成分にした水溶性の保湿因子で、天然保湿因子といいます。
そして、細胞間脂質に含まれているのは、セラミドを主成分とした脂溶性の保湿因子です。
よって、自家保湿因子というのは「天然保湿因子(水溶性)+脂溶性の保湿因子」から形成されています。
では、まず、水溶性の天然保湿因子についてみていきましょう。
表皮細胞が死んで角質細胞に変わると、細胞核などの内容物は分解されます。
それらは角質細胞が表面に押し上げられるにつれて徐々に熟成して、保湿力を高めていくのです。
そして、垢となって剥がれ落ちるまでの最後の3~4日前に、保湿機能の熟成度は頂点に達し、セラミドを主成分とした、しっかりとした脂溶性の保湿因子が完成するのです。
このように、2種類の自家保湿因子は、ともに垢となって剥がれ落ちる3~4日前に最高の保湿機能をもつまでに熟成するわけです。
細胞の層としては、2~3枚分です。
角層の最上部のこの部分が、角層のバリア機能を担う主役なのです。
また、角層の中にある水分は、何種類ものアミノ酸やたんぱく質といった分子と結合したり、電解質を含んだ不凍液のような状態になっています。
よって、湿度が10%以下でも蒸発しないし、マイナス40℃でも凍ることはないのです。
また、細胞間脂質についても、主成分のセラミドのほかにコレステロール、遊離脂肪酸などが含まれています。
さらに、セラミドひとつひとつとってみても、さまざまな種類のセラミドが絶妙なバランスで組み合わさっています。
けれど、この素晴らしい自家保湿因子も、「角質細胞+細胞間脂質」という構造があってこそ、能力が発揮できるのです。
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