刺激が適度なら皮膚の細胞が活性化されるという多少のプラスはありえます。
けれども、細胞レベルでいえば、これは大変な刺激を与える乱暴なケアでもあり、強さによっては角質細胞を傷めつけることになります。
角質細胞の大きさは1mmの100分の1ほど。細かな粉みたいなものです。
これに手のひらがパタパタと当たるのです。
当たった瞬間に、表面の角質細胞は簡単に何ミクロンもずれますし、細胞もめくれ上がってしまいます。
イチゴの種みたいにボツボツと黒く見え、触るとザラザラしているのが角栓です。
退化した毛や皮脂腺の一部やはがれ損なった角質細胞などが、毛穴の中で固まったものをいいます。
角栓が目立つのはたいていの場合、肌にキメがなく、皮脂腺が過剰に発育した肌です。
キメがない肌のほとんどは、表皮の基底層で新しい細胞ができていないために、皮膚全体が薄くなっています。
角栓を専用のパックで取ると、そのときは角栓が目立たなくなりますが、角栓を取ったときに、それに付いている毛穴の一部も一緒に剥がれてきてしまいます。
また、その刺激で、毛穴の中に傷ができ、その傷を治そうと毛穴の角層は何層にも厚くなってしまいます。
そして、厚くなった角層によって、毛穴は以前よりももっと大きく開き、角栓がますます目立ってしまいます。
毛穴がこのような状態だと、皮脂の出口が塞がれるため、ニキビもできやすくなります。
角栓が取れてさっぱり気分が良いのは、ほんの一時で、あとは広がった毛穴と目立つ角栓とニキビが待ち構えているのです。
角栓を目立たなくするためには、やはり皮膚を厚く、健康にすることです。
そのためには、化粧品の使用を中止して、大切な天然保湿因子と細胞間脂質を守り通すことにつきます。
なお、重症であれば、レーザーなどによる治療が必要ですね。 (さらに…)
水は肌の大敵です。
肌に水分が残っていると、その水が蒸発するときに角層の最上部の角質細胞が浮いたり、めくれたりします。
すると、肌は乾燥してきます。そこで、洗顔後はすぐにタオルで水をよく拭き取るようにしましょう。
肌を擦るのは絶対にダメです。タオルに水分を吸わせるのがポイントで、タオルを肌に当てて、そのままそっと押しつけます。
そのとき、タオルには水分をきちんと吸い込む時間が必要です。 (さらに…)
化粧品の中で最も肌に悪いものは何だと思いますか?それは、クレンジングです。
クレンジングには、オイル、クリーム、ゲルなどさまざまなタイプがありますが、いずれも主成分は界面活性剤で、落としにくい油性のファンデーションをひと拭きで落とす強力な効果があります。
それは、同時に、肌のバリア機能の要である自家保湿因子(細胞間脂質+天然保湿因子)を溶かして、ひと拭きで根こそぎこすり落とすことになるのです。
そして、クレンジング後には、この有害な界面活性剤が皮膚に残るので、洗顔石鹸で洗顔をするというダブル洗顔が必要になるわけです。
ところが、その洗顔石鹸にも界面活性剤が入っているので、肌は二重にダメージを受けるわけです。
肌のバリア機能を失えば、油や界面活性剤などが肌の中に浸透して、「角質細胞+細胞間脂質」の構造さえも破壊されてしまうことになります。
破壊された角層の構造は再生するのに早くても3~4日かかり、毎日クレンジングや過度の洗顔を繰り返していれば、再生した先からこすり落とされてしまいます。
しかも、「角質細胞+細胞間脂質」の構造はいかなる保湿剤を駆使しても代用はできないのです。
さらに、クレンジングにはもうひとつ、大きな弊害があります。
ファンデーションの汚れをクレンジングによく馴染ませるには、クリームのとき以上にこすることになります。
つまり、大量の界面活性剤が使用されていること、化粧を落とすために肌をひどくこすること、このふたつによって、化粧水やクリームよりもずっとひどく保湿バリアを破壊して、肌を傷めてしまうのがクレンジングなのです。 (さらに…)
保湿成分入りの化粧水を顔につけると、肌がしっとりしてもちもちしていると感じるのはどうしてでしょう?
化粧水に含まれるヒアルロン酸やコラーゲンのとろっとした感触を、しっとりと感じるためです。
でも、これは錯覚なのです。ヒアルロン酸やコラーゲンのとろみ感は、化粧水の水分の蒸発とともに直に消失してしまい、その後は乾燥によるつっぱり感が顕著に出てきます。
だからこそ、化粧品メーカーは化粧水の後には乳液やクリームをつけて「蓋をする」ようにと、謳っているのです。
ヒアルロン酸やコラーゲンは、皮膚の構成には重要な成分で、組織の中では水分保持の働きをしているので、イメージとしては美容や健康に良さそうですが、肌につけても乾燥させるだけでまったく意味はありません。
ところで、肌をひきしめる効果を期待して、水に収斂剤を入れた化粧水があります。
収斂剤とは、酸のことで、酸で皮膚表面のたんぱく質を凝固させて、肌をひきしめるものです。
一時的には良いのかもしれませんが、長期的にみると、やはり肌はボロボロになってしまうばかりです。
化粧品による油と界面活性剤の害~クリームに含まれる界面活性剤~
皮脂を模してつくられたクリームには皮脂と同じく、肌を保湿する力はほとんどありません。
それどころか、化粧水よりも肌に与えるダメージはずっと大きいのです。
クリームの界面活性剤は角層の構造自体を壊すのですから。
クリームは油と水を混ぜてつくります。
本来ならば水と油は混ざりませんが、界面活性剤を加えることで、このふたつは混ざり合い、クリームができあがります。
一方、角層は死んだ角質細胞と細胞間脂質が積み重なってできています。
角質細胞にはアミノ酸などの水溶性の保湿成分が含まれ、細胞間脂質はセラミドを主体とした脂質成分からなる脂溶性の保湿成分が含まれています。
さらに、細胞間脂質の中でも、水・油・水・油・・・・・・というように交互に何層にも重なり合って、保湿バリアが形成されています。
角層はこのように二重構造によって皮膚の水分の蒸発を防ぎ、外界からの化学物質や異物の侵入を防いでいるわけです。
ところが、クリームは角層内の水溶性の保湿成分も脂溶性の細胞間脂質も溶かし、さらには細胞間脂質の中の水・油の二重構造も一緒に壊していくのです。
このようにして、バリアを失った肌が乾燥するのは当然です。
世の女性たちは、肌に水分を供給して保湿するために化粧水を使っています。
しかし、化粧水にも水にも、肌を潤す効果はありません。
それどころか、肌をかえって乾燥させてしまいます。
その理由としては、水は皮膚の表面を壊しますし、化粧水も約9割が水からできているからです。
では、具体的に水はどのように皮膚の表面を壊すのか説明していきましょう。
皮膚自身がつくりだしている自家保湿因子のひとつ、天然保湿因子は、真水などとはまったく異なり、さまざまな種類のアミノ酸やたんぱく質の分子が結合していたり、電解質の形で存在しています。
これによって、肌を潤すことができ、また、皮膚の中の水分も蒸発しないですむのです。
ところが、化粧水などに含まれるのはただの水なので、肌を潤すこともできず、時間がたつと、その水は必ず蒸発します。
その結果、最上部の角質細胞の端がめくれ上がったり、浮き上がったりします。
すると、皮膚の中の水分は、その隙間からどんどん蒸発するので、肌は必然と乾燥します。 (さらに…)
表面の角質細胞が1個剥がれ落ちると、それがシグナルとなって基底層で新しい細胞が1個生まれます。
逆にいうと、新しい細胞が生まれるためには、表面の角質細胞がスムーズに剥がれ落ちる必要があるのです。
正常な皮膚では、表面の角質細胞が空気に触れて乾燥すると、垢としてはがれ、自然に落下していきます。
規則的に剥がれ落ちていれば、基底層でも次々に新しい細胞が生まれます。
すると、表皮が厚くなり、その分、肌の表面に波打つ余裕が生じて、キメが深くなり、キメに囲まれた網目模様の中も勢いよくふっくらと盛り上がります。
しかし、化粧水やクリームなどをつけて肌の表面をベタベタにしていると、角質細胞は乾燥せず、垢も剥がれにくくなります。
つまり、新しい細胞が生まれにくくなるのです。
よって、皮膚表面は多少乾燥しているほうが良いのです。
理想の肌は「しっとり」ではなく、「さらさら」だと覚えておきましょう。 (さらに…)
皮膚には表皮や真皮のほかに、角層という層があります。
この角層は、表皮の表面部分、つまり皮膚の外側表面を覆っています。
また、この角層は死んだ表皮細胞の集合体で、角質細胞といわれています。
角層では、6角形、または5角形の角質細胞が10層ほどびっしりと重なり合っています。
角質細胞と角質細胞の間には脂性の「糊」があり、細胞同士をしっかり貼り合わせています。
この脂性の糊を細胞間脂質といい、保湿の重要な主役となります。
そして、細胞間脂質の主成分が、セラミドになります。
また、角層は「角質細胞+細胞間脂質」という層が何層も重なり合って形成されています。
それだけではなく、細胞間脂質の中を電子顕微鏡で覗くと、水、油、水、油といった2種類の性質の異なった材料から形成されているのです。
細胞間脂質が保湿の主役であるのも、この構造のためです。このように、角層は、「角質細胞+細胞間脂質」という構造と細胞間脂質の中の「水+油」による層との、二重構造になっているわけです。
この二重構造の角質がラップのように皮膚を覆って、乾燥などから皮膚を守る保湿膜として機能しているのです。
角層は皮膚の最前線で体内の水分の蒸発を防ぎ、外部からの化学物質や異物の侵入も防ぐ、きわめて強力なバリアとして機能しているのです。 (さらに…)