取締役を退任するケースには次の5つがあります。
1 任期完了
会社と取締役の委任契約には更新がない。
そこで、任期満了後も取締役に就任するためには、株主総会で再選される必要がある。
2 辞任
取締役は多額の損害賠償責任を負担するリスクを負っているが、就任後に初めて、会社が違法行為を行っていることを知る可能性ある。
そこで、原則として取締役はいつでも辞任することができるようになっている。
しかし、取締役が3名以上いなくてはならない取締役設置会社などでは、取締役が3名を割った場合には、後任の取締役が見つかるまでの間は、取締役としての権利と義務を引き続き負わなくてはならない。
また、会社が緊急事態にあるような場合においては、病気などのやむを得ない理由がないのに一方的に辞任すると、会社に対して損害賠償義務を負わなくてはならない可能性もある。
3 解任
取締役の解任理由に制限はないので、会社が取締役に経営者としての手腕がないと判断した場合には、それだけの理由で解任することができる。
しかし、解任に正当な理由がない場合は、原則として会社は取締役の残存任期の報酬を損害賠償する義務を負う。
4 死亡
5 成年後見の開始など取締役の欠格事由が生じた場合
取締役を解任する権限があるのは株主総会だけです。
そこで、取締役の解任権限のない社長から取締役を辞任するよう勧告されたとしても、すぐに辞任する必要はありません。
なお、使用人兼務取締役ではなく、従業員の地位を失っている場合は、取締役を退任した後で従業員に戻ることはできません。