初めての役員・取締役入門

会社の所有者である株主ではなく、経営の専門家である「取締役」が株式会社の実際の事業を行うのです

取締役の報酬

報酬の減額・不支給

報酬の減額・不支給

委任契約に基づく職務遂行の対価である取締役の報酬は、業績の良し悪しによって変動する性格を持ちます。

会社の業績の悪化は、取締役の職務が株主の期待に取締役が応えられなかったことを意味するので、当然、報酬も減額されます。

また、業績不振で従業員の賃金をカットせざるを得ない場合にも、まず、経営責任の大きい取締役の報酬がカットの対象となります。

取締役の報酬を減額するかどうか、また、どの程度報酬を減額するかについては取締役会で決定され、株主総会の決議は必要ありません。

取締役の報酬は、報酬総額枠の範囲内で取締役会が決定するので、報酬の減額も取締役会の決議だけで決定できます。

しかし、取締役の報酬を取締役会の決議でいったん決定している場合には、その報酬額が契約内容となるので、減額には本人の同意が必要になります。

一方、取締役も生活のための最低限の報酬を受けなくてはなりません。

そこで、役付でない取締役に対して50%以上の減額を行うことはほとんどありません。

しかし、社長をはじめとする役付取締役は、50%以上の減額を行うことで、自ら経営責任をとる場合もあります。

カット比率は役位に応じて高くなるのです。


取締役のストックオプション

取締役のストックオプション

ストップオプションは株式報酬とも呼ばれ、非金銭報酬の代表的なもののひとつです。

ストックオプションとは、将来の一定時期(権利行使期間)において、あらかじめ設定された価格(権利行使価格)の払い込みをもって株式を取得することができる権利のことです。

ストックオプションには、取締役株主の利益を一致させる役割があります。

たとえば、行使価格が100円のストックオプションの付与を受けた取締役は、会社の業績が向上して株価が1000円になれば、1000円の株式を100円で取得でき、900円の利益を得ることができます。

株価の上昇にインセンティブを与えることは、取締役が職務をよりいっそう熱心に執行することにつながり、株主にとっても株価の上昇によりキャピタルゲインを得ることができので、双方にとっての利益となります。

このストックオプションの制度は、キャッシュの支払いをしないで報酬を与えられる、ストックオプションを付与してもその分費用を計上する必要がない、そして、株式の上場を目指す成長性の高い企業ではストックオプションを行使して得られるキャピタルゲインも相当額に上がっていたなどの理由から多くの新興企業で導入されていました。 (さらに…)

取締役の退職慰労金

取締役の退職慰労金

取締役の退職慰労金は報酬の一部として扱われるので、従業員の退職金とは異なり、法的には保護されていません。

退職慰労金を支給するためには、取締役会を通じて株主総会の議案を上程し、決議を取る必要があります。

つまり、どんなに功績があった取締役でも、株主総会で決議されなければ支払われません。

一般的な取締役の退職慰労金の算出式は、「退任時の月額報酬額×取締役在職年数×役職ごとの係数」です。

このように退職慰労金は、取締役の在職年数や功績度に応じて支給されます。

しかし、最近では、取締役ごとの功労に応じて額を算出することができないこと、そして、高額になる傾向があることから、退職慰労金の制度を廃止し、その分、賞与の支給金額を増額したり、ストックオプションなどの非金銭報酬の制度を導入する企業が増えています。

企業が退職慰労金制度を廃止する場合に、株主総会で、退職慰労金の受給資格がある取締役にそれまでの退職慰労金を支払う「打ち切り支給」の決議を行うことがあります。

これは、支給対象となる取締役が退任するたびに株主総会で決議することはたいへんなので、取締役会に打ち切り決議決定時点の退職慰労金の支給権限を授権するものです。 (さらに…)

報酬の決め方

報酬の決め方

取締役の報酬体系は会社によって異なりますが、一般的には次の5種類があります。

  1. 月額の固定報酬
  2. 業績連動型の賞与
  3. ストックオプションを含めた株式報酬
  4. 退職慰労金
  5. 社宅などその他の非金銭報酬

取締役の報酬は、定款または株主総会で決めることになっており、定款で定められていない場合は、株主総会の決議によって定めます。

しかし、取締役の報酬を変更するたびに定款を変更すると、その都度、株主総会での特別決議が必要になり、柔軟に変更することができないので、ほとんどの会社は株主総会で決めています。

また、株主総会で決定するとされている理由は、報酬を取締役会だけで決めると、会社の業績の良し悪しに関係なく報酬を増額するリスクがあるからです。

ただし、定款で定めている総額、または、株主総会の決議で定まった総額の範囲内であれば、具体的な支給額を取締役会で決定することが可能です。

そこで、実務上は、株主総会の決議で取締役報酬の1年間の上限額だけを決めて、取締役会でその範囲の中で各取締役の報酬を決めることが多いようです。

支給額は報酬基準額を決め、役職がつくとその分を加算することが一般的です。

また、手続きとして、取締役会決議で個別の報酬額の決定を代表取締役に一任する場合もあります。

一方、一度株主総会で取締役報酬の総額を決議してしまうと、その後何年間もその決議の報酬総額が有効になっている会社が多くあります。 (さらに…)

取締役の報酬

取締役の報酬

一般的には、取締役になると従業員より報酬額が増えます。

一方、報酬の減額や従業員としての地位を失うなどのリスクがあります。

会社と委任契約の関係にある取締役の報酬は、職務遂行の対価と考えられているため、従業員の賃金とは性質が異なります。

そこで、会社と雇用契約を結んでいる従業員の賃金のように、労働基準法などで権利が保護されているわけではありません。 (さらに…)