初めての役員・取締役入門

会社の所有者である株主ではなく、経営の専門家である「取締役」が株式会社の実際の事業を行うのです

内部統制

内部統制の構築義務

内部統制の構築義務

取締役会は、取締役の職務の執行を監督する義務がありますが、会社の規模が大きくなると、取締役がそれぞれの職務の執行の適法性や妥当性を監督することは物理的に困難になってきます。

そこで、会社の業務執行が適法に行われるようなしくみとして内部統制システムを構築する義務を取締役会に負わせています。

内部統制システムが適切に機能していれば不正は行われないはずですし、万が一不正が行われても、取締役会までその事実が通知されます。

会社法では、取締役会に以下の体制整備を義務づけています。

  1. 取締役の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制
  2. その他会社の業務の適性を確保するための体制
  • 取締役の職務の執行に係る情報の保存・管理に関する体制
  • 損失の危険の管理に関する規定とその他の体制
  • 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  • 使用人の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制
  • 会社・親会社・子会社からなる企業集団における業務の適性を確保するための体制
  • 取締役が2名以上の場合には業務の決定が適正に行われていることを確保するための体制
  • 監査役の監査の実効性を確保するための体制

これらの内部統制システムには、構築したシステムを実際に運用し、その効果を審査し、さらに不適合があれば是正することが義務づけられています。

そこで、特定の事業において管理体制が不十分であったことが原因で重大な不祥事が生じた場合には、その事業における内部統制システムに不備があったということになるため、取締役会にはその事業の体制を是正する義務があります。

その義務を怠ったために再び不祥事が発生した場合は、取締役など内部統制システムの構築義務違反として損害賠償責任を負う危険性が高まります。

一方、内部統制システムは、会社の業務執行を取締役自らが監視できる規模の会社では必要不可欠ではないため、会社法では、資本金5億円あるいは負債金額200億円以上の大企業にのみ構築する義務を課しています。

取締役会の決議事項は、各取締役が知っていて当然だとみなされていますが、会社の規模が大きくなると、小さな問題が取締役などの経営陣にまで上がりにくくなります。

しかし、取締役会の議題に上がらなかった重要性の低い案件で不祥事が起きた場合、取締役はその案件について意思決定を行っていないため、取締役が監視義務を尽くしたかどうかが問題とされます。

しかし、内部統制構築義務が問題とされる場合には、なぜ、そのような違法行為がなされるようなシステムを採用したのかという点が問題とされ、企業の規模が大きいためその違法行為がなされた事実を知らないというだけでは責任を免れなくなります。

このように、会社法が取締役に対して期待する役割は、会社の重要な業務についての意思決定を行い、他の取締役の業務執行を監督し、代表取締役の選任・解任を行うことです。

重要な業務執行は取締役会で決定され、取締役に期待される職務の多くは、取締役会によって執行されます。

つまり、それだけ取締役会が果たす機能は重要だといえます。

また、会社法では、取締役が他の取締役の業務執行を監督することや、代表取締役の選任解任を・行うことも重要な義務としています。

そこで、これを怠ると取締役の義務違反を問われることになります。