営業管理職のための知識

貴社の営業担当部署には、会社の営業指針を示す、マニュアルや行動方針などが存在し、文章化され、全員がそれを熟知していますか?

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「型を破る営業マン」を養成しない会社は、将来性がない

貴社の営業マンは「型」を壊していますか? それとも最初から「型」がありますか?

この質問は、唐突すぎて御理解いただけないかもしれません。失礼と受け取られるかもしれません。質問を変えます。貴社の営業担当部署には、会社の営業指針を示す、マニュアルや行動方針などが存在し、文章化され、全員がそれを熟知していますか?

もしそうでないとしたら、貴社の営業の体制に問題があります。どう問題があるかというと、営業マンに「型」がないということです。営業マネージャーも含めて、全員が「型」がないのです。

歌舞伎や落語の世界では、「型破り」と言われる人がいます。型のある人が型を破ることを言います。逆に型のない人が型を破ることを「型なし」と言います。

「型」は非常に重要です。今の時代、価値観が多様化し、既成概念にとらわれない発想が求められています。会社にとって存在すべきは、「型なし」の営業マンではなく、「型破り」の営業マンです。要するに既成概念を尊重しつつも、それに執着せずに破るかどうかということです。

かの有名な落語家T氏も、弟子を指導する際に同じような発言をしています。あれだけの「型やぶり」な方だからこそ、「型」を大事にしたというわけでしょう。

「型」がなければ、人は育ちません。営業について言うならば、優秀な営業マンを育てることはできません。

武道や茶道、華道などには、「守破離」という言葉があります。「守」とは、決められ、教えられた通りのことを、忠実に守る。これでは経験に縛られて発展性がないということになります。「破」とは、守で学んだことを身につけたうえで、自分なりの応用を加える。一段上を目指した考えであり個性的でもあります。「離」とは、初めの教えにとらわれない、独自の自由な境地に至る。個性的かもしれませんが独善的でもあります。

この「守破離」という考えは、室町時代の有名な一能楽師の言葉であるとの説があります。

では、何を守り、何を破り、何から離れるのか?それこそが「型」というものです。

「基礎となる“型”をまず身に付け、それを工夫と新しい考えで発展させる」ことが重要であり、「守破離」の前には、「型」が存在すべきです。「型守破離」という考えをする人もいるほどです。

会社の営業にも、「型守破離」があてはまります。「型破り」な営業マンとは、会社の方針に反して、独善的なことをする人のことをいうのではありません。まず、しっかりと「型」を自分自身のものとし、さらに自分なりの創意工夫をして、結果を表に出す人のことです。

「まず、“型”を作るべきです」

これが結論です。営業部署にも、個々の営業マンにも「型」がない。これが、日本の多くの会社の現実です。

「人材育成が遅れている」と嘆く前に、まず「型」をつくることを心掛けるべきです。

強固な営業体制をつくるためには、まず「型」をつくり、それによって営業マンを教育すべきです。守備面での「型」がなくては、攻撃面での「守破離」もあり得ません。

次は、あるマンガの中のセリフです。言い訳ばかりしている出来の悪い高校生に対して、主人公である「型破り」教師の言葉です。

  • “カタ”がなくて、お前に何ができるんだ。
  • 素のままの自分からオリジナルが生み出せると思ったら大間違いだ!
  • 創造とは、真似をすることから始めるんだ!
  • 基礎となる“カタ”をまず身に付け、それを工夫とアイディアでアレンジしていくんだ!
  • てめえにその基礎があんのか!
  • “カタ”にはめるな! なんてホザくやつはただのグータラの怠け者だ!

共感する方が多数おられると思います。

もっとも、多くの営業担当者は、何らかの「型」を身につけて営業に携わっているはずです。たとえば、名刺交換、上座と下座、あいさつなどはマナーとして、社会人になったときに社員研修として受けているはずです。マナーは「型」そのものです。また、相手を気持ちよくさせる礼儀も同様に「型」です。江戸時代後期のある儒学者は、「礼儀は鎧」と言っています。マナーや礼儀の「型」は、自己防衛の一手段でもあります。

しかし、営業という分野に限ると、マナー、礼儀といった社会人に最低要求される初歩の「型」は教わっていても、さらにその先の「営業の型」が、存在していません。ここに営業マンが育たない最大の要因があります。

最初の質問、貴社の営業マンが、「型破り」か「型なし」かを思い起こしてください。

営業マネージャーの教育に力を入れるべきです

営業の「型」をつくるのは、営業マネージャーに与えられた当然の役目です。「型なし」の営業マンが多いのは、マネージャーが「型」をつくっていないことに原因があります。

「型」とは、換言すれば「仕組み」です。普通の人が普通に働いて、成果がでる仕事の方法論というわけです。その仕組みをつくることが第一です。

「型」ができれば、マネージャー自信もほっとするはずです。たとえば、プレイング・マネージャーの場合には、自分の活動に手いっぱいで、部下の指導育成には手がまわらない場合が多いのではないでしょうか。

「型」があれば、部下とのコミュニケーションが取りやすく、指導がしやすくなります。また、マネージャーと部下が同じ「型」を共有し、目標に向かって行動することが指導になります。そのため、別に時間をつくって部下を教育するという負担が軽減されます。

以下は、営業マネージャー向けの強力な営業部隊をつくるための必要事項です。その軸となるのが、「プロセスマネジメント」と「ソリューション営業」です。ここで言う「プロセスマネジメント」という手法とは、目標達成にゴールインするためのプロセスをマネジメントするための方法です。そして、この「プロセスマネジメント」は、その営業部隊にとって一番効果的な「型」をつくることでもあります。

強固な「型」を持った組織からは、将来「型破り」な営業マンが生まれてきます。それが組織の成長というものです。

「子は親の鏡」とはよく言われます。会社においても、「部下は上司の鏡」であるはずです。新入社員の頃は、誰でも上司、先輩のマネをすることからスタートしたはずです。また、「親の愛情を受けずに育てられた子供は、他人を愛せない」といわれます。同様に、「上司の愛情を受けずに育成された部下は、顧客を愛せない」とも言えます。

多くの会社が、「CS(Customer[Consumer]Satisfaction顧客満足)」を経営理念として掲げています。CSは、確かに大事なことですが、CS以前に大事なことがあります。それは、「人材教育」「マネージャー教育」です。これらを軽視している会社が、実に多いのです。

営業マンの育成・教育は、どの会社でも行っていますが、営業マネージャーの教育となると、実績をあげた営業マンが、そのままマネージャーに昇進したり、ベテラン営業マンが、年功序列でマネージャーになっている。日本の企業には、こういうケースが多いのが実情です。必然的に、営業マネージャー自身の教育は、忘れられます。

「彼は、ベテラン営業マンだから」「彼は経験と実績が豊富だから」などといった理由から、マネージャーの教育については、軽視されることがあります。営業マネージャーには、重要な役割があるのに、これを教育面で軽視され、実践されていないということは、営業の世界での重大な問題のひとつです。

以上をヒントに、自社の質を向上させ、目標達成に向けて、「プロセスマネジメント」を推進してください。多くのマネージャーが、組織を一段成長させるきっかけとすることを期待します。

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2013年6月19日
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