骨董品ビジネスを始めよう!

「道楽」は崩れた感じがしますが、「趣味」は人生の糧のようなもの。道楽に陥らない、骨董収集の手ほどきと、単なる趣味でなくビジネスに繋げる道筋を紹介していきます。

750万の砧香炉

750万の砧香炉

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ある日、骨董屋「あっち堂」に常連のY山さんがやってきました。

その日Y山さんが持ち込んできたのは、砧青磁の逸品でした。

店主が「これいくら?」と聞いたところ、「50万くらいかな? こんなのも付いてる」バッグの中から、香炉の上に乗っかっている火屋を取り出しました。

複雑な透かし彫りが施された見事な銀細工です。

おそらく大名か豪商の蔵の中にあった物でしょう。

骨董の評価は最高級の物でも、今その店が作品を商える力がなければ弱気な値付けしかできません。

市場価格が合ってないような一面があり、だからこそ毎日売り買いを繰り返し、作品の善し悪しを経験しておかないと相場が読めなくなってしまいます。

店主が「70万くらいでどうかな?」と言うと、Y山さんは香炉と火屋とバッグにしまい込んで帰ってしまいました。

2週間ほど経って、再びY山さんが店にやってきました。

店主は「この間の香炉、どうなった?」と聞きたいのをぐっと堪え、世間話をしていました。

「砧香炉のことだけど」「!?」「あれ、儲かりましたわ」「じゃあ、150万で売れた?」2倍くらいの価格差は、骨董の世界では常識です。

「いやいや、750万です」あっち堂での商談が不調に終わったY山さんは、時々中国へ買い付けに行っている、Kさんに中に入ってもらい、中国人バイヤーと交渉したのです。

「バイヤーは放り出すように香炉をテーブルに置いて、『コピー、コピー』って言うんだ。『馬鹿言うんじゃない。火屋だって銀細工の古い物が付いてある』って言ってやった」「くっついてるもんや、箱なんかは金にならんと言われただろう?」「その通り、日本で作ったパーツなんか置いてゆくから安くしろと言うんだ」中国のバイヤーは、どんなに価値のある古い箱も見向きもしません。

箱横に貼ってある「○○家蔵」という蔵番などは、むしろ迷惑なくらいです。

日本人は中身より箱の方を重視し、中国人は箱の中身を重視する傾向があります。

Y山さんが風呂敷を出して包み始めると、中国人バイヤーは「いくら?」と聞いてきました。

「僕は100万のつもりで指立てたんだけど、向こうは200万でどうだって言うんだ。大体彼らの最初の仕切りは1/5くらいからだ。それでピンときた」「200万ならうちでももらうな」「彼らとやり合ったらしんどいから、言わせるだけ言わせて、Kさんのコミッションだけ値引きすると言ったら横向いた。「ならいい」と席立つふりをしたら、『800万でええ』と言ってきたんだ。中国の商売人はぎりぎりまで懐を見せないんですね。ところで、お茶ないの?」立ち話としては長くなってしまったので、店の奥へと誘って話の続きとなりました。

「ところであの香炉、どこで手に入れたの? 品物のレベルがいつもと違う」「くさい品ではないよ。ネットで落としたんだ」昔はインターネットに載せる画像は画質が悪く、修理箇所や真贋鑑定に必要な高台の土味など読み辛かったのですが、現在はデジタルカメラの画素数が上がり、パソコン画面もクリアになったため、実物と同じように見えます。

画像を拡大させると、実物では気づかないような修理痕や欠損、焼物の特徴などが見えます。

「あんな名品がネットに出るの?」「大将が海外の店を回って品物を探すように、ネットの中を1軒1軒、徹底的に覗いてるんだ。すると分かってきたんだ。大店のホームページにはいいものが出品されてるけど、僕が買うのは無理。小さくても店張ってるようなとこのホームページは、素人のコレクター向きかもしれんが通り一遍の内容が多い。何ヶ月も更新していないのばかりで面白くない。業者に頼んでホームページを作っているんだろう。毎日骨董サイトを徹底的に検索して、欲しいと思った物のコメントをしっかり読むんです。文章というのは結構真実が出るから。あの香炉を落とす前、その持ち主から三田焼きの角皿を落としたんです。送ってきたのを確認したらなかなかいい。『江戸時代から建っている蔵を整理していたら、皿や香炉が出てきて……』とコメントしていたし、角皿を包んでいたのは、明治時代の新聞紙だった。あの時代に新聞を読むなんて、相当な家だ。すぐ香炉のことを尋ねてみた」個人コレクターから蔵にある品物を引き出すのは「初出し」といい、非常に難しいことです。

高い値付けをすると、もっと高く売れるのではと欲張って売ってくれず、安く言うと貝のように蔵の扉を閉じてしまいます。

その点、ネットのやり取りは事務的に進みます。そこへ少し温かい言葉を挟めば説得できるかもしれません。

Y山さんはこう発信しました。

「いい三田焼きでした。コメントの中にあった香炉、よかったら私に譲ってください。あなたの希望価格と画像も送ってくれませんか。できるだけよい値で買わせてもらいます。私は貧乏な絵描きで、三田焼きが大好きです」関西の旧家の蔵には、三田焼きの中に本歌(本物)の中国陶磁などが混じっていることが稀にあり、この旧家もその例でした。

「いくらで買った?」「……2万円」「えっ、じゃあ798万の儲け!?」「Kさんに50万払ったから、正確には748万の儲けです」

748万円儲けたポイント
1.オークションサイトや骨董サイトの検索をしっかりやる2.日々、作品価格の動きを掴んでおく3.作品をチェックするコネを持つ

4.文章力を磨き、真実を掴む

5.買い付けた物をどう売るか。買ってくれる店やコレクターの確保をしておく

6.売れ筋骨董を見誤らない


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